CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である株式会社J.D. パワー ジャパン(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本浩二、略称:J.D. パワー)は、J.D. パワー 2021年携帯電話サービス顧客満足度調査SMの結果を発表した。
政府による携帯電話料金の値下げ政策を発端に、近年の携帯電話サービス市場は各社からの新プランや新ブランドの投入が相次ぎ、市場が活性化している。当調査では昨年まで大手移動体通信事業者(MNO)のメインブランド(au、docomo、SoftBank)のみを対象として実施してきたが、本年から対象を増やし携帯電話サービスを<大手キャリア *1>、<バリューキャリア *2>、<MVNO *3>、<オンライン専用ブランド/プラン *4>の4部門に分けて顧客満足度を測定した。
*1 大手移動体通信事業者(MNO)のメインブランドの携帯電話サービス(au、docomo、SoftBank)
*2 大手移動体通信事業者のサブブランドまたは準大手移動体通信事業者の携帯電話サービス(楽天モバイル、UQ mobile 、Y!mobile)
*3 仮想移動体通信事業者(MVNO)による携帯電話サービス(本調査対象はイオンモバイル、BIGLOBEモバイル、IIJmio、J:COMモバイル、mineo、OCNモバイル ONE)
*4 大手移動体通信事業者が本年より提供を開始したオンラインのみでの手続き・サポートを基本とする携帯電話サービス(ahamo、LINEMO 、povo)
※ ( )内サービス名はアルファベット順
オンライン専用ブランド/プラン が4部門中、最も高い満足度
部門別の総合満足度スコア平均は、大手キャリアが588ポイント、バリューキャリアが643ポイント、MVNOが648ポイント、オンライン専用ブランド/プランが664ポイントとなり、オンライン専用ブランド/プラン部門の満足度が4部門中、顧客満足度が最も高いという結果となった(下図参照)。今年から提供が始まったばかりの新しいサービスではあるが、ユーザーから非常に高い満足度を得ていることが示された。
加入理由として、「通信速度が速い」という通信品質に対する理由が他部門より多くあがっており、加えて「毎月の総額費用が安かった」という料金に対する理由も多くのユーザーがあげている。通信品質のよさと料金の安さの両方を求めるユーザーから支持されているサービスといえる。また、利用者の特徴を見ると、毎月10ギガ以上を使うユーザーが多く、年代では若年層のみならず50代以上も約3割を占めており、幅広い年代から支持されている。
オンライン専用ブランド/プランにより、大手キャリアの顧客流出は減少が予想
オンライン専用ブランド/プランを利用しているユーザーが以前に利用していたサービスをみると、どのオンライン専用ブランド/プランにおいても9割前後が同じ携帯電話事業者グループのサービスとなっている(下図参照)。多くのオンライン専用ブランド/プランユーザーは、元々利用していた携帯電話事業者と同一の事業者グループ内で移行しており、大手携帯電話事業者にとってこのオンライン専用ブランド/プランは、コスト面をより重視したい顧客が他事業者へ流出することを防ぐ強力な防衛策となっていることがうかがえる。
今後の改善期待、「ポイントプログラム」がいずれの部門においても上位に
近年の携帯電話サービス市場は、大手携帯電話事業者のサブブランドやMVNOによる格安サービスの普及に始まり、新規事業者の参入、大手携帯電話事業者によるオンライン専用ブランド/プランの提供開始等、ユーザーの携帯電話サービスの選択肢がさらに広がってきており、競争は激しさを増している。携帯電話サービス事業者においては、市場競争を勝ち抜くためにも、自社顧客の特徴や期待を捉えた特色のあるサービス開発や顧客満足度の維持・向上に向けた活動が従来以上に重要となっていると考えられる。
現在加入している携帯電話サービスについて、「今後、改善を期待するもの」をみると、4部門ともに「ポイントプログラム」が上位にあがった(全23項目中、下図参照)。キャッシュレス決済の普及も加わり、ポイントサービスが当たり前の存在となっている現在、よりお得にサービスを利用したいというユーザーが多いことがうかがえる。
各部門の特徴としては、バリューキャリアやMVNOのユーザーでは「通信品質」の改善をあげるユーザーが約3割と多く、データ通信速度や通信エリアの改善が継続的に期待されている。
また、バリューキャリア、オンライン専用ブランド/プランでは「iPhoneの販売/ラインナップ」が上位にあがった。バリューキャリアやオンライン専用ブランド/プランのユーザーにおいてもキャリアからiPhoneを購入したいというニーズは高く、iPhoneの品揃えや取り扱い拡充を求めるユーザーが多いことが推察される。
また、オンライン専用ブランド/プランでは「データ通信容量のシェアや繰り越しサービス」が2番目に多くあがった。オンライン専用ブランド/プランユーザーの半数は毎月のデータ利用量が10ギガ未満という回答となっており、データ容量が余るユーザーも多いと推察される。ユーザーの使い方に合わせた柔軟な容量プランに対する期待も大きいと言える。
J.D. パワー 2021年携帯電話サービス顧客満足度No.1を発表
総合満足度ランキングは下記の通り。
<大手キャリア部門>(対象3ブランド)
第1位:docomo(595ポイント)
「各種費用」、「通信品質」、「サービスメニュー」の3ファクターで最高評価。
第2位:au(590ポイント)
「手続き・サポート対応」、「提供端末」の2ファクターで最高評価。
第3位:SoftBank(573ポイント)
<バリューキャリア部門>(対象3ブランド)
第1位:UQ mobile(668ポイント)
「通信品質」、「サービスメニュー」、「手続き・サポート対応」、「提供端末」の4ファクターで最高評価。
第2位:楽天モバイル(641ポイント)
「各種費用」ファクターで最高評価。
第3位:Y!mobile(632ポイント)
<MVNO部門>(対象6ブランド)
第1位:IIJmio(671ポイント)
「各種費用」、「通信品質」、「サービスメニュー」、「提供端末」の4ファクターで最高評価。
第2位:OCNモバイル ONE(656ポイント)
第3位:mineo(650ポイント)
<オンライン専用ブランド/プラン部門>(対象3ブランド)
第1位:LINEMO(675ポイント)
「各種費用」、「サービスメニュー」、「手続き・サポート対応」の3ファクターで最高評価。
第2位:ahamo(665ポイント)
「通信品質」のファクターで最高評価。
第3位:povo(659ポイント)
《 J.D. パワー 2021年携帯電話サービス顧客満足度調査SM概要 》
年に1回、スマートフォンを利用している人を対象に、携帯電話サービスの利用状況や各種経験、満足度を聴取し明らかにする調査。今年で23回目の実施となる。
■実施期間:2021年7月下旬~8月上旬
■調査方法:インターネット調査
■調査対象:スマートフォンを利用している人(18歳~74歳)
■調査回答者数: 大手キャリア部門:9,500人
バリューキャリア部門:3,900人
MVNO部門:2,800人
オンライン専用ブランド/プラン部門:1,300人
総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価を基に 1,000 ポイント満点で総合満足度スコアを算出。総合満足度を構成するファクターは、総合満足度に対する影響度が大きい順に、「各種費用」(27%)、「通信品質」(25%)、「サービスメニュー」(20%)、「手続き・サポート対応」(15%)、「提供端末」(13%)となっている(カッコ内は影響度)。
*J.D. パワーが調査結果を公表する全調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。
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J.D. パワーについて:
J.D. パワー(本社:米国ミシガン州トロイ)は消費者のインサイト、アドバイザリーサービス、データ分析における国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。50年以上にわたり、ビッグデータやAI、アルゴリズムモデリング機能を駆使し、消費者行動を捉え、世界を牽引する企業に、ブランドや製品との顧客の相互作用に関する鋭い業界インテリジェンスを提供するパイオニアです。